少年野球で守備が上達してくると、アウトが取れるようになり、ひとつの打球で2者がアウトになったりするのが見られるようになります。
エラーが減って野球らしくなり、保護者の方もこのころになるとたいへん盛り上がり、楽しく感じるようになります。保護者の方々がすすんでチームに貢献しようとする雰囲気が一体化するようで、チームワークの黄金期を迎えます(笑)
スコアラーは、このアウトにした守備の貢献を記録しなければなりません。嬉しいけれど忙しいです!
むずかしくはありませんが、忙しい記録となります。この記事では、ダブルプレーとトリプルプレー、ランダウンプレーを丁寧に解説しようと思います。
ダブルプレー
連続して2つのアウトを取ることをダブルプレー(併殺)と言います。学年が上がってくると、子供たちはたくさんダブルプレーの練習をするようになります。むずかしいプレーですが、子供たちはその上達したプレーを試合で見せることができるようになり、チーム全体が活性化する瞬間です!
野球中継で「ろくよんさんのダブルプレー!」と聞こえてくることがあります。これは6-4-3を表し、ショートからセカンドへ、そこからファーストに送球されて、2者連続アウトにしたことを示します。代表的なダブルプレーです。
ここでは、この「ろくよんさん」代表的なプレーを例に説明していきます。忙しい記録ですが簡単です!
- 1番バッターがライトへヒット
- 2番バッターの転がった打球はショートが捕り、セカンドへ送球。二塁ベースを踏んで二塁へ向かっていたランナーは1アウトで6-4と記入
- 2番バッターは一塁めざして走ったが、セカンドからファーストへ送球され2アウトとなる
2アウトのところは、4-3では?
ダブルプレーの書き方は、はじめから終わりまでの守備の流れがわかるように決められた記入法です
2番バッターのアウトのときに、4-3と記入せずに6-4-3とする理由は「どこから2連続したアウトなのか?」が一目瞭然にするためです。そして }DP の記号でさらにわかりやすくします。
講習会でもよく質問があったところで忙しい記入になりますが、ゆっくり慣れていってください。上図ではわかりやすいように赤い記号で書かれていますが、実際には黒で書きます。
次の示す連続アウトもダブルプレーですので、例としてあげておきます。これは2番バッターが先にアウトになるケースです。
- 1番バッターがライトへヒットで一塁に
- 2番バッターが犠牲バントしようとするが打球が上がってしまい、走ってきたピッチャーにキャッチされ1アウト(犠牲バント失敗)
- 1塁ランナーは走りだしていたが塁に戻るところで、ピッチャーから1塁ベースカバーに入ったセカンドに送球し、セカンドはそのままベースを踏んで2アウト
バントの失敗はよく見られるケースですので、今のうちにゆっくり慣れて理解しておくと安心です。
ダブルプレーは子供たちにとってむずかしいプレーですから、試合でこれができるようになったら、観戦者はおおいに褒めてあげてくださいね!(エラーしても”ため息”は厳禁です、大丈夫と声掛けをしてあげましょう)
ダブルプレーができるようなチームは勝ち進むようになりますので、保護者の方も、今のうちにスコア基礎の習得ができれば安心ですね!
トリプルプレー
あまり例がないのがトリプルプレーです。連続して3つのアウトを取ることを言います。守備が上達したチームでみられることがあるので、ここにあげておきます。
筆者は保護者時代に一度だけ高学年の公式試合中に目の前でみることができました。子供がまだ低学年だったので応援席でスコア練習をしていたせいか、今でもしっかりと覚えています。
そのときの実際の例とスコアで解説します。
- 1番バッターがショート内野安打で出塁
- 2番バッターがレフトヒットで出塁し、1塁ランナーは2塁へ進塁
- 3番バッターはライナーでサードが捕球して1アウト
- 2塁のランナーは塁をはなれており帰塁しようとしたが、サードからセカンドへ送球され2アウト
- 1塁のランナーも塁をはなれており帰塁しようとしたが、セカンドからファーストに送球されて3アウト
最後の3アウトの記録のところでは、トリプルプレーの最初の守備から中間の守備、そして最後の守備までの5-4-3などを記入して、プレーが連続していることを表します。
これはダブルプレーと同様の“流れの記入法”ですね!
- }TP の記号も忘れず記入してわかりやすくする
- 3アウトで回が終わったら区切りを示すために、2重の斜線 // をいれる(黒い字でOKです)
あせらず、ゆっくりと理解してください。初心者の皆さんの手と思考が止まりそうになるところですが、案外解体してみるとむずかしくないことがお分かりいただけると思います。ただ忙しい記入となります。
ランダウンプレー
塁にいるランナーが離れたとき、守備側はアウトにしようとボールを送球しあってタッチアウトをねらいます。このときランナーをはさんでタッチしようと追いかけたりすることをランダウンプレーといいます。挟殺と言い、挟んで(はさんで)アウトにしたときに用います。
盗塁の牽制からはじまった場合
塁にいるランナーは次の塁へ進塁したいので、少し塁から離れていつでも走れるように準備(リード)しています。守備側はランナーを一人でも多くアウトにしたいので、すばやく牽制をすることが多いです。このときに何人かの守備が関わってランナーアウトができたときにランダウンプレーの記録がされます。
わかりやすくひとつずつ解説します。
- 1番バッターはライトへヒット
- 2番バッターの第一球目に、(塁から離れている)1塁ランナーへピッチャーからファーストへ牽制した
- 1塁ランナーはファーストのタッチをさけるために、2塁へ駆け出した
- ファーストは2塁ベース上にいたセカンドへ送球し、ランナーをタッチアウト【1-3-4TO】
次の塁へ走っていったので『盗塁のS』と考えます。しかしランナーはタッチアウトされているので『盗塁失敗のST』の記号を用います。
ランナーはタッチアウトを避けるために、ランナーをアウトにできたのでランダウンプレーの記録となり、流れの記入法を用います。1-3-4を書き、セカンドがタッチアウトしたTOをつけます。
’ のタイミングも記します。
アポストロフィとっさに書けないと思う
実際は”貼るメモ”などを用意して、鉛筆で走り書きしました
初心者のみなさんは、何人もの守備が関わるランダウンプレーをなかなか書けるものではありません。筆者は小さいメモで走り書きしたり、スコア表にうすく走り書きしたり、後で子供たちに確認したり、アタフタやってました(笑)
さて、このようにうまく進んでくれないことが多いのが、少年野球です。上図の例を使って、もしもランナーが塁でセーフになったとき…の疑問にお答えします。(つまりランダウンプレーの失敗です)
- a.挟まれたランナーが次の塁へ進めた(守備側にエラーがないとき)
-
盗塁となります。記号はS。かかわった守備側の1-3-4は記入しません。どのタイミングで起きたかの「アポストロフィの ’ 」はつけましょう。
- b.挟まれたランナーが1塁に帰塁できた(守備側にエラーがないとき)
-
無記入です。挟まれてもアウトにならなければ挟殺プレーは成立しません。何事もなかったかのようなスコアになります。まあ、元に戻ったわけですから。
- c.守備側が悪送球や落球などのエラーにより、挟まれたランナーが次の塁へ進塁した
-
例えば、挟んでいた守備側のセカンドが落球したために、ランナーが次の塁へ進塁できた場合は、盗塁ではありません。「エラーによる進塁」となり 上図では1-3-4Eと→(やじるし)を記入します。
- d.守備側が悪送球や落球などのエラーにより、挟まれたランナーが元にいた塁に帰塁できた
-
守備側のエラーは記録されます。セカンドの落球をあらわす1-3-4Eを記入し、ランダウンプレーがあったことがわかるようにします。
ちなみにファーストが悪送球した場合は、1-3E-4の記入となります。
わかりやすいように、a.b.c.d.についてのスコアの記入例を部分的に図にしますね。
む、むずかしい、丸暗記ですか?
いえ、丸暗記は避けたほうが混乱しません。上の[はてな?の記事内]をゆっくり理解してから、筆者が覚えた理屈のコツを書いておきますので、よかったらご参考までにどうぞ。
[ランナーが挟まれた!]瞬間、筆者はスコア表の空欄にうすく鉛筆で守備で関わった番号を走り書きします。(1-3-4など)
ランナーが塁でセーフのとき
※ランダウンプレーの記録はなしと考える
セーフなら、ランダウンプレーは失敗だから- 守備のエラーがないとき盗塁(次の塁に行けた)もしくは無記入(塁に戻れたのでなにも起こらなかった)
- 守備のエラーがあるときエラーは記録されるため(悪送球や落球があれば守備の右側にEをつける)
少しだけ頭のなかが整理されたら良いのですが、このように理屈で考えたほうが実際のスコア記入がラクになります。
バックホームから始まった場合
三塁ランナーが本塁をねらうとき、外野から中継されてきたものもランダウンプレーとして記入します。
プレーが起こった順番で書いていきます。
- 4番バッターはライトへ2塁打
- 5番バッターがレフトへヒット、4番のランナーは三塁へ
- 6番バッターがセンターへヒット
- 5番ランナーは2塁へすすみ
- 4番ランナーは本塁突入するが、打球が飛んだセンターからサードへ送球し、サードからキャッチャーへ送球が間に合って、ランナータッチアウト
タッチアウトができているのでランダウンプレーは成立です。ランナーが塁に生き残ったケースよりは、ずいぶん書きやすく感じませんか?
筆者のように例外プレーまで丸暗記では、なかなか記憶の混乱状態から抜けるのがたいへんだったということをお伝えしたいと思います。
まとめ
ダブルプレーやランダウンプレーは、むずかしいスコアではありません。試合がゆっくりさえ動いてくれるなら、書くことはできるものですが、実際には次から次へと動く状況のなかで、初心者にはスコアを的確に記入することができるはずがありません。
筆者は先輩が横にいてくれて、「5-6-4-3」など声で教えたくれたり、実際は協力者がいましたので「はじめは一人でつけるのではない」と心強い環境でした。感謝しかありません。
初心者は助けがないとスコア記入はむずかしいので、ぜひ先輩たちは協力してあげてほしいところです。
ここまでお疲れ様です。だんだん初心者を脱するレベルに近づいていますね。
当時の筆者も持参していた、文庫版で持ち運びやすいスコアの書き方の本をあげておきます。