ピッチャーやキャッチャーが関わるプレーのなかで、失敗にあたるのですが、エラーの記録ではないものがあります。
- ワイルドピッチ
- パスボール
- ボーク
- 盗塁
このなかでピッチャーに対して、ルール違反とみなされペナルティがあるのがボークです。(このペナルティは塁上にランナーがいると一つ進塁することになります。)これも失策にはなりません。
盗塁されてもバッテリーは失策ではありません。攻撃側のプレーであるからです。今回はこの盗塁のタイミングを記録する学習になります。まったくむずかしくはありませんが、慣れるまで「忙しい」です。すばやく記録しないとまた盗塁があれば混乱します。
記録はむずかしくありませんので、こちらも安心して進めてください。
ワイルドピッチ(暴投)とパスボール(捕逸)とボーク
エラーと勘違いしがちですが、それぞれ記号であらわすことが決められている失敗プレーをあげています。
記号
- ワイルドピッチ【暴投】 WP
-
- ピッチャーがワンバウンドさせてキャッチャーが捕れない
- ピッチャーがキャッチャーの捕れないところに投げる(高すぎたり、横すぎたりして届かない場合)
これらによってランナーが進塁してしまったときに記録されます
- パスボール【捕逸】PB
-
- キャッチャーが捕れるはずの球を捕球できず、ランナーが進塁してしまった場合
ランナーが進塁しなければ暴投・捕逸ではありません、ボールカウントが増えるだけです。
意外と初心者の記憶違いの多いところでもあります。「すでにいるランナーを進塁させたか否か」がポイントです。
ピッチャーがとんでもないところに投げても、キャッチャーがすぐ対応して、塁にいるランナーが次の塁に進塁するのを防ぐことができたらワイルドピッチになりません。主審に「ボール」のコールが入るだけです。
キャッチャーにしても同様です。落球しても、ランナーが次の塁に進まなければ、パスボールではありません。主審のコールを聞いて記録しましょう。
いつのタイミングかを記す
打席にいるバッターは、ワイルドピッチやパスボールがあっても打者自体は打席にいますから、どのタイミングで味方のランナーが進塁できたのかなどを記録する必要があります。
これは、アポストロフィーという記号 ’ を使って表します。下図で説明します。
- 1番バッターがストライク、ボール、ファウルのあとにライトへ2塁打
- 2番バッターがストライク、2球目ボールのタイミングでワイルドピッチのため、1塁ランナーは2塁へ進塁できた
- 2番バッターは3球目ボールカウントで動かず
わかりやすいように、赤い字で書いていますが実際は黒で書きます。
アポストロフィー ’ は何個でも書くことができます。’’’でもわかりやすければ使用します。あまり多いと区別できなくなるので、記号の種類を増やすなどして見やすいように工夫します。
ボークは失策ではない
ピッチャーのボークの説明はここでは省きます。簡単に言うと、打者が混乱するような不正な動作をいいますが、多くの動作が例としてありますが、初心者はわかりにくく、試合を見るごとにゆっくり把握していけばよいと思います。
記号はBKで、アポストロフィ ’ が使われます。
ボークは失策ではありませんが、塁にランナーがいる場合に進塁を宣告されます。ピッチャーに対してペナルティです。記号はこのように書きます。
上図を順番に説明します。
- 1番バッターがストライク、ボール、ファウルの次の4球目でライトにヒットで出塁
- 2番バッターは、ストライク、ボール、ボールの次の4球目でピッチャーがポークを宣告されたので、BKを記入
- タイミングを表すアポストロフィ ’ の記号をわかりやすく記入する( ボークはピッチャーが投げていないので、ストライクやボールは書きません、 ’ だけ書きます)
盗塁(スチール)
盗塁の記号は、S(steal)で表します。とくに盗塁はどのタイミングで起こったのかを記録する必要があります。相手チームの戦略を読みたいときに、指導者は参考にしたりします。
盗塁が多いか、初球で走ってくるかなどのチームの特色を読み取ることができます
盗塁は一度ではなく、また同時に盗塁も起こったりするので記録は簡単でありますが、ランナーが絶えずどこの塁にいるかを把握する必要があり、忙しい記録のひとつです。
上図も順番に解説すると
- 1番バッターは4球目にセンターへ2塁打
- 2番バッターが打席に入り、一球目のストライクのときに一塁ランナーが三塁へ盗塁成功で、’ を記入
- 2番パッターはその後フォアボールで一塁へ出塁
- 3番バッターのストライク、ボール、三球目のストライクのときに、1塁にいる2番ランナーが二塁へ盗塁成功
アポストロフィ ’ のおかげで、相手チームがどのタイミングで盗塁する傾向があるかを分析できます
守備がうまくない時期の筆者の低学年チームで多かったのが、ダブルスチール(2人同時に盗塁)DS、トリプルスチール(3人同時に盗塁)TSです。中学野球以上からはあまり見られないプレーです。守備が良くなって、そう簡単には盗塁はできないものですから。
書き方だけ図にすると
- 4球目に1番バッターはライトへヒット
- 2番バッターはセンターへヒット
- 1番バッターが2番のおかげで2塁へ進塁 (2)と記入
- 3番バッターの3球目に1番のランナーは3塁へ、2番のランナーは2塁へ同時に盗塁成功
トリプルスチールTSもDSと記録方法は同じになります。これは記録したことはありませんが、低学年ではたまに見かけますので説明を載せておきました。
またよくある盗塁失敗の記号は、記入が多くなりますがゆっくり理解してください。
- 盗塁してランナーがタッチアウトされて失敗したとき…ST
- 送球された守備(例えばセカンドなら)がタッチアウトするため…TO
慣れてきたら、すばやく記録できるようになります
- 1番バッターがライトへヒットで一塁
- 2番バッターの3球目で一塁ランナーが盗塁するが
- キャッチャーはセカンドに送球して、セカンドはこのランナーをタッチアウト
いつ起きたかのタイミング記号 ’ と 盗塁失敗ST と キャッチャーからセカンドでタッチアウト2-4TOこれら3つをすばやく書けるのは、初心者のうちは難しいです。
まとめ
記号それ自体は、覚えることは簡単だと思います。とくに失策、盗塁も審判のコールを聞きながら書けるものです。
また投手や捕手が守備をしている場面で、悪送球や落球があれば、それは失策としてエラーが記録されます。
行き詰まりを感じるのは、プレーの失敗の例を「どのように書くのか?」です。これはプレーの失敗の種類がたくさんあります。失敗例をできるだけ暗記した筆者は、試合中よく混乱しました。無謀な学習方法であり、スコア習得に遠回りしました。
この経験から初心者の皆さまの思考が止まることのないように、この記事にある基本をゆっくり習得するほうがラクに試合を見ることができます。ぜひおすすめします。
試合中に起こったむずかしいプレイは、のちに不思議とよく頭に入っています
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