「なぜ一塁へ進塁?」「なぜアウトといわれた?」初心者の皆さまはスコアに慣れてきて、ゆっくり記入練習しているときに、突如わからないプレーが審判から告げられるときがあります。
子供は一生懸命プレーしているだけなのですが、野球には反則や違反があり、審判員の判断によって進塁したり、アウトになったりします。近くで確認できないスコアラーは、審判員のコールによって記入することになります。
初心者スコアラーはルールをざっと知っておくだけでよいです。反則や違反にあたる妨害に関しては審判のコールで以下の3つを理解しておけば記入できますから、ここでは簡単に説明します。
- 打撃の妨害
- 守備の妨害
- 走塁の妨害
これらについて、記号や使い方を述べていきます。このルールに深入りする必要はありませんので「こういったプレーがある」という認識で大丈夫です。記号を覚えていればよい項目ですので、意外とむずかしくはありません。
打撃妨害
IF(interferenceの略・F(interferenceの略・インターフェレンス)で表します。たいていキャッチャーが関わるので、IF2となります。
キャッチャーのミットが、打者のスイングしたバットに触れた
キャッチャーがピッチャーの球を集中して捕球しようとしているときに出やすいプレーです。キャッチャーは「ちゃんと球を受けよう」と必死で構えており、結果的に打席のスィングしたバットに当たってしまうことはよくあります。
図で表すと
上図ではわかりやすく赤色で記入していますが、こちらも黒色で書きます。以下の項目も同様です。
キャッチャーがホームベース前に出た
このように書くと信じられないプレーに聞こえますが、技術が成長途中である子供が夢中になった故のプレーがコレです。中学野球以降で見ることはありませんが、少年野球の独特の場面であり、特に初心者の手が止まるプレーです。
ランナーが盗塁しそうなのでキャッチャーがピッチャーの投げる球を早く受けようと、思わずホームベースより前へで出てしまった、それが打者を妨害するかたちになってしまった
という打撃妨害が少年野球でみられます。とくに盗塁が起こるとき、守備にいる子供たちは「走ったー!」と大声で知らせるので、キャッチャーも急いで投球を受けようと前へ出てしまう、感じです。
つい出ちゃう感じになるのですね
本当に健気にプレーしていてかわいらしく、子供が集中しているのは微笑ましいかぎりです。しかし、打者と捕手のどちらの方にも非常に危ないプレーですから、双方の力が小さいうちに違反プレーとして習得する必要があります。
こういったパターンを知っておけば、打撃妨害の記入方法に関しては安心です。
守備妨害
IP(illegal playの略・イリーガルプレイ)で表します。バッターが守備の妨害するものと、ランナーが守備の妨害するものの2種類あります。
バッターが守備妨害
バッターがキャッチャーの動きを妨害
打席にバッターが立っていると、キャッチャーは塁にいるランナーの盗塁を察知したとき、ピッチャーから捕球してすぐに盗塁の牽制球を投げます。
故意ではないと判断されたケースでは、例えばバッターがバットを振って空振りしたりしたときに、その場でひっくり返るときがあります。少年野球では守備妨害にならないこともあります。
※中学野球以降では、ひっくり返る様子によっては守備妨害となります。つまり、審判は妨害を避けられたとするバッターの態勢を考慮するようになります。
バッターがスリーフットレーンをはみ出して一塁へむかった
一塁へ向かうときにの長方形の区画線がありますが、これをスリーフットラインといい、このレーンをスリーフットレーンと言います。打者はこの範囲からはみ出して一塁へ進塁してはいけません。
補足ですが図にしますね。
これをはみ出して一塁に到達しても、守備側の妨害したとして判断されて、守備妨害となります。
しかし2塁打以上の長打では1塁守備に関係ありませんので、ランナーがこのレーンを大きくはみ出して走っても守備妨害になりません。
打者にIPとアウトを記入します。理由を知って入れば、簡単にスコア記入できます。
ランナーが守備妨害
打球がランナーに当たったとき
例をあげて、記入方法を説明します。
- 1番バッターがライトへヒット
- 2番パッターが打った打球が2塁へ行こうとするランナーにあたった
- ファーストはイレギュラーした打球を追いかけたが1塁も2塁もアウトにできなかった
- 塁審がランナーに打球が当たるのを見ていたので、守備妨害としてそのランナーをアウトとし、2番バッターは内野安打とした
当たったランナーもかわいそうですが、打球に当たらないように進塁しなければいけないと考えます
ランナーが、打球を捕ろうとした守備の選手にぶつかってしまった
具体的な記入例を書いていきます
- 1番バッターがショート内野安打で一塁へ進塁
- 2番バッターがショートへワンバウンドの打球を飛ばしたので、ショートは捕球してセカンドへ送球
- セカンドは送球された球を捕球しようとしたが、2塁へ向かっていたランナーの腕がセカンドの体に接触した
- セカンドの体勢がくずれて捕球できなかったのを確認した塁審は「守備妨害」を告げ、ランナーはアウト
図にしますと
1番のランナーはセカンドへの守備妨害となり、IP4で1アウトを記入し、2番バッターは6-となります。ちなみに6-のハイフンは、ショートからの送球に続きがあることを表し、セカンドへの流れがあることがわかるようになっています。
2番バッターはヒットでは?
2番バッターは送球間の進塁「ハイフン–」です。ヒットは記録されません。
守備妨害で認められた進塁ですから、ヒットになりません。これも初心者が混乱しやすいので、ゆっくり慣れておきましょう。このように理由がわかれば書きやすくなります。
走塁妨害
守備側がボールを持っていないのに、ランナーの進塁を妨害することを走塁妨害と言います。
Obstruction(オブストラクション)と言われ、OBと記入し、ひとつの進塁が認められます。
どういったときに発生するかというと
- 守備側がゴロを捕球し送球後、その場に留まってランナーに接触して進路妨害
- 盗塁のときにボールを持っていない守備側がランナーの進路をふさいだ
- ランダウンプレーのときに、ボールを持っていない守備側がランナーの体に当たった
少年野球では特にたくさんの例が出てきますが、審判がジャッジしますので、およそこんなことが起こる可能性があると頭にあれば、スコア記入にとまどうことはありません。
ここは簡単に図で示しておきます。
上の図は、1番バッターがゴロを打ちファーストが捕球しようと走るが、ランナーの進路を妨害し、接触してしまった。走塁妨害を告げられた、という例です。
オブストラクションの記入も意味さえ理解すれば簡単ですね。もしも投手がランナーと交差してしまったら、OB1と記入します。
まとめ
練習試合中に「なぜ、進塁してるの?」「なぜ、アウトになってるの?」という、初心者では知らなかった違反や反則といったプレーが存在し、ペナルティがあることがよくおわかりいただけたと思います。
野球の違反・反則は多くの事例があるので、審判のジャッジに従ってスコア記入するだけでよいです。安心して練習してください。
このためスコアラーはおよその意味と打撃妨害・守備妨害・走塁妨害の記号を知っているだけで大丈夫です。これで初心者が疑問に思ったプレー中の動きがずいぶんわかるようになります。